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神様の荷台 第1章(the god’s carry #1) - yuukinosight lyrics

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突き抜けるような朝の陽射しと
青空に開く割れたラジカセ
市議会議員の演説の向かいで
毎日ビラを配っている君
君のことなら何も知らない
風の中に立つ真っ白な君
草原に居るかのように涼しく
何とも言えない瞳の澄んだ
新興宗教のビラを配る
僕より大人びた女の子
いつも真っ白な衣装をはためかせ
「神の子よ目覚めよ」と歌ってる
郵便受に新聞が入る
音で目覚めた僕は西野の子
軋む階段をそろそろと降り
家族が起きないようにしている

「朝が僕等の国にも届いて、
彩なる山の鳥が囀れば、
春は梢に宿れる弾みの、
解放されし南の海・・・。」

父さんも母さんもまた疲れ果て
帰ってきたんだろう
まだ眠ってる
朝七時半
カバンを肩にかけ
行ってきますと書置きをのこし
透き通った空気の中へ出て行く
自転車が下りの坂を転がる
気持ちいい春の匂いに包まれ
毎日の通学路を抜けてく

今日も君は駅前に立ってた
天使のような笑顔で歌ってる
配るビラが渡したそばから
棄てられようと構いもせず
君が子供というだけでなはく
かもし出してる穢れの無さが
その白い集団が全体的に
反射する太陽の度を強めてた

何処にでもありそうな普通の街の
詰襟とセーラーの中学に着く
顔を見たら皆おはようといい
教室までの階段をあがる
固い出席簿をまとめながら
二日酔いの先生が来るまで
それぞれ
おしゃべりや何かで過ごしてる中
大抵最後
僕は入ってく
起立と礼に統制された一日の
つつがなく過ぎるまま僕は暮らす
毎日僕等が背負って歩く
教科書がどうのと言われているが
縦書きを読むのは好きな歴史の
恐らく平和な時代の午後に
欠けてく月の鮮やかを連れて
夕食の匂いは宅地に満ちた

蘭は夜九時にログインしてきた
僕等は堰を切って色んな話をする
視認不能な夢の四次元のポッケ
技術は青い海を救えるか
二回まで使える命のことや
互いの家のちょっとした事情
すっとぼけがちな現実にある
属性や病気を共有できる
ゲームに似合う声が痛そうで
左眼をつぶる自分が好きな
最新を競う事にも別に
疲れては居ない十代の仲間

僕の画面に映し出される
蘭の顔はあの子の顔だけど
壊したくはない君の秘密に
重ねた僕の嘘は戻れない、

運命についてまじめに論じ
アメのセンスで笑った後に
amラジオの時報でやっと
零時を知って現実へ落ちる
学びを求める格差の影で
引き裂かれてゆく中間層の
果てし無い闇が広がる窓の
外は山鳴りと夏の匂いだ

恐ろしく近い夜を眠って
また朝がきたら家を出てゆく
今日も君は同じ駅前で
せっせと無償の愛を働く
言葉の詰まった胸の底から
好きだと言って抱きしめたい
近くて遠すぎる風の中の蘭
君のことなら何も知らない

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